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New IC4592
Small Star Cloud
天の川の中心方向から北寄りの位置には星が密集した領域があり、たて座のスモールスタークラウドと呼ばれる。この写真の中央に写っているのがそれで、前掲「瀬戸内の初夏」でもほぼ中央に見えている。
この「たて座」というのはとても政治的な成り立ちの星座だ。1683年のオスマン帝国 vs. 神聖ローマ帝国の戦いで神聖ローマ帝国が防衛戦に勝利したのだが、それを記念して天の川の最も美しい部分を切り取って作られた。現代ではとても考えられない由来だが、過去にもこのような星座を受け入れるかどうかは論争があったらしい。
スモールスタークラウドの左隣(東側)には小さく高密度な星団が見える。これはM11(通称 野鴨星団)という散開星団で、一見して球状星団かと思うほどに星の密度が高く、散開星団としては珍しく高倍率で観察して面白い天体である。
2023/5/1 03:53-04:15 JST at Okayama pref. south east. Tamron SP 85mm F1.8 Di VC USD/Model F016E (@F2.0) +EOS 6Dmod(SEO SP4) on SWAT350, 15s × 36subs = 9min. かなりの手抜き撮影。極軸合わせは素通し孔で、一枚当たり露出時間は15秒、合計露出時間も雲が通ったため10分弱で、そもそも既に薄明開始した後の撮影だ。それでも対象が明るいと絵にはなる。
瀬戸内の初夏
M13
毎年恒例、春といえば球状星団。
2023/3/19 02:32-04:06JST at Okayama pref. east. Nadirus16 mod (D=406mm) with Starizona Nexus (f/3, f=1200mm) and ASI1600MM-cool, on EQ platform without auto-guiding. LRGB composite, L for 202×10s with LPS-D1, RGB 146×10s, total exposure 58m. Dark cosmetic correction and ABE for each linear subframe, and BTX applied.
NGC2903
しし座の鼻先にある比較的大型の銀河。
この写真、2つの点でどうもスカッとしない。ひとつめは40cmドブソニアンの追尾精度が想定より低いことで、露出時間10sで甘めに見て歩留まり75%といった程度。光学系が明るいので10sでも絵にはなるが、露出時間1時間で10GBほどにもなるデータの重さがまずはネック。
次に、AIによる画像処理の問題。いま流行りのBlurXTerminatorというニューラルネットワークベースのDeconvolutionツールを試してみたのだが。確かに驚くほど「解像感」は上がるものの、ハッブル宇宙望遠鏡の画像とつぶさに比較してみると「・・・ここにそんな模様ないよね?」みたいなのがある、気がする。M13のデータでも試してみたが、そちらは設定次第ではもっと酷くて、あるはずのない「星雲っぽいウネウネ」を高輝度部に無数に生み出していた。一般に言ってデータに存在する模様を強調するのはアリだが、存在しない模様を生み出すのはナシだろう。観賞用とはいえ科学写真の一種だしなぁ…。ところが一方で、一般的なDeconvolutionではどうしているかと言うとRingingなどのArtifactが生じないような設定を人が作っているわけで、本質的にはそれと何が違うのか?と問われるとちょっと答えに窮する。BXTで「画像復元」し、Starnetで「星雲を分離」し、Denoise-AIで「ノイズを除去」する。Generative AIの課題についてニュースでも報道される時代になったが、こんなニッチな趣味でも似たような問題に直面するとはね。
2023/3/18 21:46-02:00JST at Okayama pref. east. Nadirus16 mod (D=406mm) with Starizona Nexus (f/3, f=1200mm) and ASI1600MM-cool, on EQ platform without auto-guiding. LRGB composite, L for 624×10s with LPS-D1, RGB 141×10s, total exposure 2h07.5m. Dark cosmetic correction and ABE for each linear subframe, and BTX applied.
ばら星雲
オリオン座のすぐ東、いっかくじゅう座にある大型のHII領域。中央の6つの星がいい目印になるが、星雲そのものを見るのは双眼鏡などでは難しい。ガス雲の中央で形成された星からの恒星風により、そのガス雲自体が吹き払われているため、中央の星雲が暗く見える。また赤く光る星雲部には複数の小さな暗黒星雲(ボック・グロビュール)が見えているが、これらはその内部に生まれたばかりの星を宿しているんだろう。
2023/1/21 23:30-2:52JST at Okayama pref. south east. SWAT350 + Star71II with NBZ filter. LRGB composite, L by ASI1600MM-cool for 1min × 85, RGB by 6Dmod (HKIR) for 2min × 28, total exposure 2h11m. モノクロカメラとカラーカメラによるLRGB合成で手軽に高分解能を狙ってみた。星が全部白になってしまっている点については、いずれ何とかしよう。一方で、どうもStar71IIだと輝星にハロが出てボテボテになるのはいただけない。また、この日は赤道儀の赤経軸まわりのバランス調整をサボった結果、追尾精度が悪くてかなりのコマを失った。オートガイドなしのお気楽運用でも、気を付けるべきところは気を付けないとね。
オリオン座南部の散光星雲
冬の恒例、オリオン座。相変わらず派手なところだ。180mmのレンズだと構図が中途半端でバーナードループがかなり見切れているが、それはさておきオリオン大星雲や馬頭星雲を拡大して見ると意外に細かい所まで写っていて面白い。レンズがF2.8と明るいだけあって星間ガスの分布がとてもよく分かり、C11による高解像度の写真と比べながら見ると色々と発見がある。
2022/11/27 0:41-3:08 JST at Okayama pref. east. SIGMA APO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSM + 6D(HKIR) + SWAT350, Exposure 2min each for 2h04m total. HDR for high luminosity region.
ぎょしゃ座南部の散光星雲
ぎょしゃ座の五角形の内側、南寄りに位置する散光星雲・散開星団。最も目を引くのが中央下寄りの赤い星雲(通称「勾玉星雲」)で、それ以降は解説するのも面倒なほど色々と天体がある賑やかな場所だ。
2022/11/26 22:20-0:29 JST at Okayama pref. east. SIGMA APO MACRO 180mm F2.8 EX DG OS HSM + 6D(HKIR) + SWAT350, Exposure 2min each for 2h04m total. 当夜の主目的は40cm鏡のファーストライトだったので、サブ機は手のかからないSigmaの180mmを選んだ。これは良いレンズで、EOS6Dとの組み合わせで開放から気持ちの良い像を結ぶ。SWAT350に積んでノータッチの露出2分で点像、F2.8と明るいので信号強度も十分あり、気温も低いので暗電流も少ない。素材が良いと画像処理が楽だ。Starnetで星雲を強調すると恒星の色が星雲の色に寄ってきて不自然になるが、修正するのも面倒なのでスルーします。
皆既月食・天王星食
皆既月食中の月に天王星が隠されるという極めて稀な現象で、空間的には太陽・地球・月・天王星の4天体が一直線に並ぶことになる。写真は天王星の潜入時もので、月と天王星のサイズの違いがよく分かる。
この現象について報道では「前回は440年前で次回は324年後です」と言っていたが、実はこれは日本で見られる皆既月食中の惑星食についてである。日本に限定しなければもっと頻度は上がるだろうし、天王星食に限定すればもっと頻度は低いだろう。話の前提条件を正確に認識しておくというのは大事だ。最近、国立天文台の広報室にお勤めの方が執筆された天文台の電話番という本を読んだのだが、それによるとこういった現象の前にはマスコミから広報室に「前回はいつですか?次回はいつですか?」という定形的な質問が来るらしい。ところがその際の前提条件が不明確で、日本本土で見られた現象だけとか、実際にその地点で晴れて見られた現象に限るなどの暗黙の条件があり、回答に苦労することが多いとのこと。その点、今回の減少について国立天文台が報道関係者向けに作っている解説HPにはきちんと前提条件が書かれている。
2022/11/8 20:30 at Hyogo pref. south. ATLUX + C11(F7.5 with Starizona Corrector LF) with Baader UV/IR cut, by EOS6D改(HKIR) for 4s at ISO400. 以前に「月を撮るのにいい得物がない」と言っていたのは単なる計算間違いで、シンプルに C11+6D で月がいっぱいに入るんだった。何やってんだか…。この写真の方向は北が左で、よくある天体写真の方向(北が上)とは違い、月食当日の見た目と近い方向にしている。
馬頭星雲
オリオン座にある有名な暗黒星雲。
この写真は「何が起きているのか」がイメージしやすい。写野の右外にある恒星(σ Ori)が左側にある暗黒星雲の壁を照らし、その光によってガスがイオン化されながら暗黒星雲から飛び去って行っている(光蒸発)。ところが、馬頭星雲の頂部ではガスが高密度となった領域で星形成が行われており、ここでは光蒸発による浸食が遅くなる。その結果として暗黒星雲がσ Oriに向かって突出する形で残っている。そしてこのまま光蒸発が続けば、いずれ馬頭星雲の頂部から若い星が現れるわけだ。
2022/10/31 2:17-3:46JST@兵庫県中部, ATLUX + C11 at F6.3 with Starizona Corrector + EOS 6D(HKIR) with LPS-D1, 60subs × 1min = 1h, auto-guided by PHD2, LM75JC + ASI224MC. 当夜は風が強かった。防風ネットを張ってもかなり星が飛んだコマが多く、露出1分にもかかわらず歩留まり半分程度で露出時間が全然足りていない。赤経軸まわりのバランスを調整していてもtelescople west → eastにすると特に歩留まりが悪いように思うが気のせいだろうか。画像の隅でいよいよ画質が悪いのはAPS-Cまでしか対応しないレデューサを35mm判の6Dと組み合わせているからで、隅の光量は中央に対して1/3程度にまで落ち込んでいる。そもそもL-RGBで撮るるつもりだったのに風が強くて(以下略)
NGC253
ちょうこくしつ座の大型の銀河。ゾウリムシみたいだ。極微と極大の世界には通じるものがある。
2022/9/30 21:51-02:06JST@岡山県東部。ATLUX + C11(F6.3 with Starizona Corrector) with LPS-D1, L-RGB composite. L image by ASI1600MM-cool(Gain100, -10℃) for 1min × 161subs, RGB image by EOS6D改(HKIR) for 2min × 18subs = 36min, total 3h17min. 高度が低いこともありFWHM=3.5"とかなり甘い。
NGC7293
みずがめ座の大型の惑星状星雲。
2022/9/29 23:19-01:04JST@兵庫県南部、9/30 20:51-21:30JST@岡山県東部。ATLUX + C11(F6.3 with Starizona Corrector) with NBZ, by EOS6D改(HKIR) for 1min × 90subs = 1.5h。淡い部分がさっぱり出せておらず、露出時間をあと数倍かけたいところ。ダークが合わずキャリブレーションで少し苦労した。撮り直したダークも温度不一致で合わなかったので結局はバイアスを使って暗電流分のみスケーリングしたのだが、ライトフレーム一枚当たりの露光量が小さいためscaling factorの自動探索もできず、最終的にはライトフレームをキャリブレーションなしでスタックした画像を使って人力でscaling factorを決めた。紆余曲折あったがキャリブレーションの出来自体にはある程度満足している。撮影から一次処理までは基本的に「物理」だと思うが、まだ勉強が足りないな。
NGC6823 & Sh2-86
こぎつね座にある散開星団(NGC6823 中央左寄り)とHII領域(Sh2-86 赤い星雲)のセット。
この姿の成り立ちを知ると、写真を見るのがより面白くなると思う。
この柱状構造はHII領域でしばしば見られるもので、その形成過程についてはこちらの論文のFig.11が分かりやすい。柱の先端の高密度領域では星形成が行われている最中と考えられている。暗黒星雲の内部で星ができつつある場所が芯のように残って、その裏側に柱が残るイメージだ。そのためわし星雲(M16)に見られる同様の柱状構造は「創造の柱」と名付けられた。
2022/7/29 21:48-03:11JST、兵庫県北中部。ATLUX + C11(F6.3 with Starizona Corrector), L-RGB composite. RGB image by EOS6D改(HKIR) with LPS-D1 for 2min × 29subs = 58min, L image by ASI1600MM-cool(Gain200, -10℃) with NBZ for 1min × 126subs = 126min, total 3h ca. Starnet V2 & Denoise AI applied. フィルタにNBZ(= Hα+OIII)を使ったが、普通にHαフィルタで良かった気もする。比較的淡い星雲で合計露出3hでもSNR不足気味だが「柱状構造を捉える」という目的は達したかと思う。月刊天文ガイド2022/12月号落選作、まあ露出足りてないしなぁ…。もっと淡いところまで出せる星野なので、いずれ取り直そう。
Northern Coalsack
土星
惑星を撮ったのは何年ぶりだろう。せっかく梅雨明けしたのに山に行く元気もなく悶々としていたところ、夜半過ぎに昇ってくる土星を死蔵している惑星用カメラで撮ればいい事に気がついた。普段Deep skyしか撮っていないので惑星撮影は新鮮で面白い。
後述の通りこの写真はかなり解像度が低いのだが、怪我の功名で「望遠鏡で土星を見るとこんな感じに見えます」と人に説明するのに丁度良いくらいになった。実際のところ口径10cm超の望遠鏡で土星を見るとこんな雰囲気に見えることが多く、そこからずっと粘っていると幸運な瞬間が訪れてもっと細部まで見える、と言った感じだ。
2022/7/2 02:42JST、兵庫県南部。ATLUX + C11(x2 barlow lens, F20) + ASI224MC, Exp 10ms for 1min 1870subs, RAW16, Gain=400, AS!3.1.4にて上位10%スタックし、Pixinsightにて輝度のみDeconvolution, MLTかけて LRGB合成。撮像設定も画像処理も事前の予習なしで適当。かなり甘い写りで口径なりの解像度には程遠く、著名な日本人惑星観測者が同型の望遠鏡で撮影された画像と比べると雲泥の差だ。シーイングもあるだろうが、どうも惑星に対応できるほどには光学系が調整できていない気がする。真面目にやるならまず球面収差最小の位置を探すことだろうか。
M8
いて座にある大型の散光星雲。北半球で見える星雲といえば、東西の横綱がオリオン大星雲とアンドロメダ銀河で、このM8がそれに続いて大関くらいになる。肉眼でもまあ知ってる人には分かるが、面白いと思えるには双眼鏡くらいは必要。
赤い星雲は重量級の星が放つ紫外線により励起された水素ガスだが、その手前には多数の小さな暗黒星雲が見えている。これらはボック・グロビュールと呼ばれる領域で、周囲よりも高密度・低温であり、その内部でまさに恒星が生まれつつある。
恒星残骸たるM57の次に撮ったのが星形成領域のM8だったというのも面白い。恒星は自らの外層のガスを吹き飛ばして一生を終えるが、そのガスは新たな星の材料となる。死と生は連続してあり、個の生死はマクロに見れば動的な世界の常態。個とは一時的に物質が周囲から識別可能な形に集まった状態であり、その点において本質的には水面の波と大差ないが、そこには輝きがある。これは星の世界に限った話でもない。
2022/5/28、岡山県東部。ATLUX + C11(Starizona SCT corrector LF, F7.5) + 6D改(HKIR)、IDAS NBZ、ガイド鏡 + M-GENによるオートガイド。1min × 60 = 1h。なぜかバイアスがズレていたためキャリブレーションがうまくいかず、データを取り直すのも面倒なのでキャリブレーションなしでやってみた。対象が明るくて派手だとそれっぽくはなるものだ。
M57
こと座にある有名な惑星状星雲。探すのは簡単だし星雲としてもそこそこ明るいが、なにせサイズが小さいのでちょっと倍率を上げないと分かりにくい。地球から2500光年の彼方にある直径数光年のガス球殻である。
この惑星状星雲というカテゴリー名はミスリーディングで、天文に馴染みのない人なら「木星とかの仲間?」と誤解しそうだが、実のところ惑星とは関係がない。この天体は恒星が終末期に放出したガスなので「恒星残骸」くらいの名前が適当だと思うが、かつて「見た目が惑星っぽいから」という理由で惑星状星雲と名付けられたため今もそう呼ばれている。惑星に似てると思えるのはサイズ感と「まるい」ということくらいだが・・・。
恒星はその一生の末期に赤色巨星となって外層のガスを放出して失っていき、中心には白色矮星という恒星の灰の芯のような星が残される。リングの中心に見えている星がそれである。白色矮星は平均的には1ccで1トンという恐るべき高い密度を持ち、これから何億年にもわたってゆっくり冷めていく。その過程で放出される光が周囲のガスを電離させて輝かせている姿が惑星状星雲で、Wikipediaの受け売りでは青はヘリウム、緑は酸素、赤は窒素の輝線らしい。
2022/5/27-28、岡山県東部。ATLUX + C11(Starizona SCT corrector LF, F7.5) + 6D改(HKIR)、IDAS LPS-D1、ガイド鏡 + M-GENによるオートガイド。1min × 81 ≒ 1h20m。
M101
おおぐま座にある大型の銀河で、通称「回転花火銀河」。探すのは簡単で、北斗七星の柄の二番目の星(ミザール)から始まるほぼ等間隔の星の連なりを辿ればいい。ただし淡く広がっているため5cmファインダーで見るのは結構きびしい。
M101の形はかなり歪んでいるが、これは近傍にある伴銀河の重力の影響によるものである。またM101には赤いHII領域が多数(ある研究によれば1000個以上)あるが、これも伴銀河の重力に起因しており、重力で星間ガスが圧縮されたために活発な星形成が起こっているらしい(以上Wikipediaより)。一見して無関係な銀河円盤の歪みと多数のHII領域がともに伴銀河の重力に由来するというのはちょっと面白い。こういった例は他の銀河だとM51(子持ち銀河、写真集~2017年 ご参照)でも見られる。
銀河の渦巻きというのはずっと同じ星からなるわけではない。よくある例えだと銀河円盤内を運動する物質が道中ときどき遭遇する交通渋滞のようなもの(密度波)らしい。 M101では物質は反時計回りに数億年かけて銀河を周回しているが、その途中でしばしば暗黒帯(渋滞)に追いつく。ここでは物質が圧縮されて新たな星の形成が起こっているため、暗黒帯を少し(時間にして500万年ほど)行き過ぎたあたりでは新たに生まれた高温高輝度のO・B型星やこれらに励起されたHII領域が輝いており、ここが外界から銀河を見たときの「腕」となる。さらにその先に進むと、生まれた星々の中でも重いO・B型星は~1000万年という短期間で燃え尽きてしまうため、残された軽量級で輝度の低い恒星が輝く領域となる。我々の太陽系も銀河系内でこのような旅をしており、既に20周ほど回っているそうだ。
2022/5/2、岡山県北東部。ATLUX + C11(Starizona SCT corrector LF, F7.5) + 6D改(HKIR)、IDAS LPS-D1、ガイド鏡 + M-GENによるオートガイド。1min × 178 ≒ 3h。この銀河をちゃんと撮ったのは初めてかもしれない。M101はなんというかバサバサした印象の銀河で、個人的にはもっとカチッとした銀河(例えばM81)が好みだからだろう。とはいえ撮ってみると意外に面白いのだが、シーイングが悪かったため解像度はFWHM=3"程度とかなり低い。残念。
天の川銀河 北側バルジ 暗黒帯群
わが天の川銀河の中心付近で、星座としてはさそり座・いて座・へびつかい座あたり。渦巻き銀河の中央部の膨らみをバルジというが、我が天の川銀河の北側バルジには暗黒帯がよく発達している。ここは広角レンズで撮るとちょっと気味悪く写るあたりなのだが、そこに中望遠レンズで寄ってみた。
とにかくモヤモヤしていて「煙の写真?」みたいな感じだが、奥行き方向の配置をイメージしながら眺めると良いかもしれない。まず背景が天の川の恒星による光の帯で、その手前で光を遮っているのが星間ガスや宇宙塵からなる暗黒星雲。それと重なる位置でバラバラと見えている恒星は暗黒星雲よりも手前の星である。
暗黒星雲は周囲より物質の密度が高いので自らの重力で収縮していく傾向があるが、その結果として最終的に恒星が生み出される。地球も生物も構成元素は恒星の核反応で生み出されたものであることを思えば、我々も大元を辿ればこの暗黒星雲から生まれたと言っても過言ではない。
この星野の名所をひとつ。写野中央の少し上寄りに小さなS字形の暗黒星雲があり、その名も「S字状星雲」と呼ばれる。気が向いたら探してみてください。
2022/5/2、岡山県北東部。SWAT350 + Tamron SP 85mm F1.8 Di VC USD/Model F016E @F2.0 + 6D改(SEO-SP4)、20s × 18 = 6min。3時間ほど露出はしていたがダークが全然合っていないためスタックするとスジが出る、のでそれが目立たない6分ぶんだけスタックした。構図的にも左端でM8・M20が切れていたりといまいちだが、サブ機の放置撮影なので拘らないでおこう。
M3
初夏の風物詩、球状星団。M3はりょうけん座の明るい球状星団である。導入は簡単で、りょうけん座α(コルカロリ)とうしかい座α(アークトゥルス)の中間あたりで6等星がふたつ並んでいるところを見つけ、そのボヤッとしている方がM3。いつもこんな雑な方法でやっているが苦労することはない。5cmファインダーで「周辺がぼやけた星」として見え、口径10cmの望遠鏡があれば暗夜だとボワッとした光のボールが見えて美しい。
2022/5/1、岡山県北東部。ATLUX + C11(Starizona SCT corrector LF, F7.5) + 6D改(HKIR)、IDAS LPS-D1、ガイド鏡 + M-GENによるオートガイド。1min × 71 = 1h11min。シーイングが悪くて解像度がサッパリ出ておらず(FWHM=3"程度)、6年前に撮った写真の方がよほど良い。残念。
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